こんにちはスパ二郎です。
グローバルに技術者として活躍したい人なら誰しも一度は耳にしたことのある資格、プロフェッショナルエンジニア(Professional Engineer)!
日本では技術者にとって最高峰の資格である「技術士」に当たる称号のため、米国技術士とも呼ばれています。
ここではPE登録の全体の流れと具体的な作業について書いていきます。
まず、PE登録はよく大変ということを耳にしますが、その中でも関門となるのがPEライセンサーからの推薦状です!
頑張ってPE試験に合格したけど、PEライセンサーの人と一緒に業務した実績がありません。
PEライセンサーの登録もすごく大変と聞きます。。。
まずはPE試験合格おめでとうございます!
結論から言うと、PEライセンサーの元で業務をしていなくても、OKです。
登録に向けてやることは多いですが、一個づつやることをやっていけば誰でも登録できます!
ここでは、テキサス州のTexas Board Professional Engineer (TBPE)に PE登録した体験したことをベースに書いていきます!
この記事を是非以下の人に読んでほしいです!
- PEに興味がある人
- PE試験に合格した人
- PE登録者したいけどPEライセンサー周りに無い人
- テキサス州に登録を考えている人
- 名刺のタイトルにPEを入れて箔を付けたい人
PE登録の作業
ここでは実際にどのような具体的な作業が必要になるのかを細かく書いていきたいと思います。
申し込み (Application)
PE 試験合格後、NCEES の Dashboard に 「Next step」 と表示されます。
そこをクリックすると自分が予めNCEES上で登録した州のBoardのサイトに飛びます。
PE licenser の登録申し込みを行います。
テキサス州の場合、申し込み費用は$80です。
今後、ライセンス登録において✔︎Completeしなくてはならない項目を、 TBPE のマイページの「Status」をチェックできます。
申し込みが完了したら、TBPE のマイページから、Application Formを発行しましょう。
これは必要提出書類の1つになりますので、発行したら印刷しておきましょう!
指紋採取 (Criminal History Record Check)
過去に犯罪歴などが無いか確認するために指紋を登録をします。
指紋の登録方法は以下の2種類です。
①指定のフォームに自分の指紋を採取して送付する
②指定の場所(米国)に行って、指紋の電子データを採取する
米国に居住していない場合は必然と前者の①が現実的だと思います。
ここでは①の指紋を指定のフォームに採取する方法についてです。
Texas Board にもこれに関する情報はこちらに記載あります。
まずは指紋を採取する機関「identoGO」のサイトから事前申込みをして、application numberを取得します。
費用は$38.25です。
申込みが完了すると「Application form」が発行されます。これも最終的に送付しなければならないので予め印刷をしておきましょう。
https://www.fingerprintanalysis-randi.com/
申し込み完了するとApplication numberが発行されるので、それと合わせてService codeとORIを用意しておきましょう。
- Service Code: 11G66B(PEの申請用のコード)
- ORI: TX923654Z(テキサス州の場合)
- Applicant Number: IdentoGOの申し込みにより取得
指定のフォームは、FD-258 Finger Print Cardです。
これはネット上でも同フォームのデータがあるため、そちらを印刷してもOKすが、Texas Boardに依頼したら立派な紙質のフォームを無料で郵送してくれます。
指紋の採取は、警察署でも可能ですが、対応してくれるかは警察署に依る為、予め対応してくれるか確認しましょう。
また対応してくれる場合でも、指紋の採取のみで、フォームに採取した機関のサインはしてくれません。
無難に進めるのであれば、お金を払って民間のサービスを利用した方が良いです。
費用は30,000円前後です。
民間サービスを利用して、探偵みたいな人にビルの個室で指紋を採取してもらいました。
やっぱり専門の方なので、こういうのは慣れていて書類に不備なく安心して任せる事ができました。30分から1時間くらいで全部が完了しました。
倫理テスト (Ethnics Exam)
オンラインテストまたはペーパーテストを選択できますが、オンラインが間違いなく楽でしょう。
テストは途中でやめてもその時点から再開できます。また、不合格になっても何度でも受けられます。
テストはTexas Rules を閲覧しながら受けることができます。
なので、対象となる問題のChapterを検索すれば答えを探すことができるので、英語をしっかり読む事ができれば大丈夫です。
また、再チャレンジする際のテストの内容は全く同じですが、前回どこで間違えたのかは不明です。
出来る限り回答した答えをメモしといて、再試験の見直しに活用しましょう。
業務実績書の原文(Original SER)の作成
SERとはSupplementary Experience Recordの略で、PEライセンサーとして認めてもらうための過去の業務実績書(SER)のことです。
そのSERには推薦者からのサインが必要となりますが、原本(Original SER)には推薦者のサインは不要です。推薦者のサインは次項の複写版(Copy SER)に入れます。
SERの書方は以下のとおり。
①分かり易い英語で簡潔に
②PE試験で勉強した内容と経験したEngineering業務を結びつけて
③技術的に苦労したことに対してどのように問題解決し
④技術者としていかに社会福祉に貢献しているか
この4点を意識して、これまでに携わったプロジェクトを3〜4案を纏めれば丁度良いページ数になります。
現職に限らず転職などして前職でも技術的な業務経験がある方は是非その点も纏めましょう。
纏めたSERは英語の得意な人(できればネイティブな技術者に)にレビューしてもらい、添削してもらいましょう。あくまで最終的にこれを読むのは米国の各州PE Boardの技術系の人です。
レビューが終わったら、最後にApplicantの欄に自分の署名と日付を入れて完成です。
完成した原本のSERは、前項のApplication Formと同封してTBPEに送付しますが、後にコピーが必要になるので、必ず原本をPDFで電子データ化しておきましょう。
業務実績書のコピー(Copy of SER) の作成
Copy of SERは前項で作成した原本のコピーです。
推薦者としてサインを貰うPEライセンサーの人数分の部数をコピーする必要があります。
推薦者は一般的には3〜5人必要とされますが、依頼するPEライセンサーを探すのがPEライセンス登録の関門でもあります!
推薦状にサインをもらうPEライセンサーは基本的には、同州のライセンサー、かつその人の下で業務をしていないとNGというイメージはありますが、実際は以下のケースでもOKです。
・自分が登録する州以外のライセンサー
・社外のPEライセンサー
・関係会社のPEライセンサー
・面識が一度もないけど、紹介されたPEライセンサー
つまりPEライセンサーであれば、極論、赤の他人でも正直問題ありません。
ただし、推薦者との関係性について記載が必要ですので、関係が希薄だったとしても、その点は上手く説明しましょう!
また、登録する州やその担当者に依るところもあるので候補となる人は出来るだけ多く探しておきましょう。
推薦状をもらうPEライセンサーを見つけたら、予め電子化した原本のコピーをPEライセンサーに送付します。
送付した原本のコピーの各ページに日付とサインを記入してもらえばCopy of SERの完成です。
推薦者(PEライセンサー)の探し方
会社に、または身の回りにPEライセンサーが全くいません。
とは言っても、中々身の回りにPEライセンサーを見つけることは容易ではありません。。。。。。
しかし、同じような悩みを持ったPE合格者は沢山存在していることからも、それを手助けしている協会、日本プロフェッショナルエンジニア協会、通称JPSE(Japan Society of Professional Engineers)が存在します。
JSPEは非営利団体で、国内外で活躍するPEライセンサー達によって組織、運営されており、日本と米国のPE協会を結ぶ架け橋的な存在です。PEに関する情報を発信したり、勉強会なども開催しております。
同協会はPEライセンサーはじめ、ライセンス登録をしようとしているPE合格者、PE試験を受験しようとしているFE合格者、何も受験してないけどPEに興味のある人、いろんな人が所属してるため、つながりを作っておくことで、PE登録に必要な推薦状の作成にも役立ちます!
技術士の資格、または博士号をもている人も推薦者として有効な場合もあるので、予め州のBoardに確認しましょう!
推薦状(Reference statement)の作成
Copy of SERと同様に、推薦者の方に推薦状(Reference statement)を作成してもらいます。推薦状は予めApplicantが記入する欄があるので、記入を全て終えてから送付しましょう。
また、推薦状には以下のようなReference Evaluationという選択肢があります。
推薦者であるPEライセンサーとの関係性に依りますが、一緒に仕事をした経験が無い人は「Character & Review of SER only for Purpose of Reference Statement」にチェックを入れてましょう。
あとは推薦者の方にポジティブな内容で自身との関係性を記載してもらえればOKです!
Copy of SERと推薦状の送付(by PEライセンサー)
3〜5人の推薦者(PEライセンサー)に作成してもたった以下2点を、Texas Boardに送付します。
・業務実績書のコピー(Copy or SER)
・推薦状(Reference Statement)
この2点を同封します。封留めには 推薦者のサインを入れて、その上から透明のテープを貼ります。
基本的には本人は推薦者が書いた推薦状(Reference statement)の内容は確認できません!
なので、どんな内容でBoardに送付されるか確認したい場合は、予め推薦者の方にそのコピーを貰いましょう!
これらの送付の方法は以下
①各推薦者からBoardに直接に郵送してもらう
From 推薦者 To 登録する州のBoard:推薦者が封留した封筒に直接宛先を記入
OR
②封留めした封筒を推薦者から受け取り、自身にてBoardに送付する
From 本人 To 登録する州のBoard:本人が郵送する封筒の中に、封留された封筒が入っている
推薦者が米国にいる場合は、国内郵便なので①のパターンが効率的でしょう。
しかし、本人および推薦者が日本に在住している場合は、相手に手間をかけさせない、また慣れない作業のため確実に米国に送付したいので、パターン②の方が無難でしょう。
また、郵送は必ず追跡できるように追跡番号(Tracking number)を取得しましょう!
英語力の証明 (Proficiency in English)
PEライセンサーは英語を使って現地の監督者、技術者、作業員とコミュニケーションを行い、Engineering業務を行います。そのため少なからず仕事に支障がないレベルの英語力が必要とされます。
そのため、Non – Accredited and Foreign Degrees、つまり米国国外の大学を卒業した人は、以下のいづれかの方法で英語力に問題ないことを証明しなくてはなりません。
①TOEFL で高得点を取得
②会社の上級の方からのレター書いてもらう
③EIT(Engineer In Training)に登録しておく
英語力の証明に関するオリジナルの要求は以下、Texas Boadのサイトからも確認できます。
①TOEFL で高得点を取得
求められているTOEFLの得点は Texas Rule Bookによると以下です。
基本的には①のTOEFLを受験することが求められていますが、その免除手段として、②および③の方法があります。
②会社の上級の方からのレター書いてもらう
②の手段として、上司から「当人は英語力に問題ない」旨のレターを書いてもらうことです。
これは①のTOEFLの得点が基準点に満たなかったときの補助的なエビデンスとしても活用できます。
レターを貰う方は、肩書き(Title) が部長以上のExective Directorの方、そして可能な限り米国人が良いでしょう。
③EIT(Engineer In Training)に登録しておく
PE 試験前に EIT 登録を済ませた場合、それだけで英語能力が十分にあると認めれます。
米国に在住してPEを受ける場合は、プロセスとしてEITが必要となるケースが多いです。
EITに関してはこちらを参照ください。
自分の場合はPE試験前にEITを取得していたので、この時点では英語力の証明は求められませんでした!
PE登録後の作業
必要な書類をすべて提出した数日後、TBPE の Application ページにて、全ての Item が Complete となり、後日メールにて登録完了の連絡をメールで受領します。
Certificateとライセンスカードが 2 週間後に届きます。
ここまで来ればあとは、スタンプの登録です。スタンプは自分好みのものを購入しましょう。ここから購入できます。
購入したスタンプを所定のフォームに捺印し、写真を貼って返送します。
写真は枠からはみ出なければOKだったので、パスポート用サイズの写真でもOKでした。
これで全ての作業が終了です!お疲れ様でした!
最後に
PEの登録に際して、本記事のプロセスは数ある方法の中の一つにしかありません。
PE登録の方法 = PEライセンサーの数、と言っても過言ではないです。
色々な人の登録体験談を聞いて、こんな膨大な作業ができるのか、正直めんどくさいから諦めようと思ってしまうかもしれませんが、始めてみれば案外淡々と進みます!
あと米国人の方は良くも悪くも比較的テキトーな人が多いので提出すれば基本Acceptされます。
登録完了した後は、登録中の大変さを忘れるくらい、達成感があります。
そして、PEライセンサーとなってからも継続的な学習は必要で、名前負けしないように、技術者として成長したいという新しい気持ちが湧き出てきます。
PEライセンサーに少しても興味ある方は是非、チャレンジしてみてください!
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